解体工事を始める前には、アスベスト含有の有無についての事前調査が求められます。
2014年6月1日から建築物・工作物の解体工事に伴う、アスベスト飛散防止対策が強化されています。
アスベストとはなに?
アスベストとは別名、石綿(いしわた)とも呼ばれている天然にできた鉱物繊維の名称です。
アスベスト(石綿)は主に6種類あり日本で使用されていた代表的なアスベスト(石綿)は、白石綿(クリソタイル)と茶石綿(アモサイト)、青石綿(クロシドライト)になります。
アスベストの種類は、以下に示す6種類まとめ。
■蛇紋石系
- クリソタイル(白石綿)・・・ほぼ全ての石綿製品の原料として重用されたもの。
■角閃石系
- クロシドライト(青石綿)・・・吹付け石綿として施工されたもの。石綿セメント高圧管にも使用された。
- アモサイト(茶石綿)・・・これも吹付け材に含有されたり、各種の断熱材や保温材にも使用された。
- アンソフィライト・・・毒性は青石綿の1/500程度。耐火ボードや煙突の断熱材として使用された。
- トレモライト・アクチノライト・・・透閃石とも呼ばれます。成分量の差だけでトレモライトとアクチノライトは分類されるために、X線回折法では同じ回折パターンが見られるので、分析上では「トレモライト及びアクチノライト」という表記になります。
アスベスト(石綿)の健康被害
アスベストは、安価で利便性の高い建築材料として、様々な建築物等に広く使用されてきました。
しかし、近年の研究で体内に滞留した石綿が要因となり、肺の線維化やがんの一種である肺がん、悪性中皮腫などの病気を引き起こすことがわかってきました。
深刻な健康被害が社会問題となり、現在はアスベストを含有する建築材料の製造は禁止されており、建築物の解体工事に伴うアスベストの飛散防止対策の強化が図られております。
アスベスト(石綿)の工業材料としての特性
アスベスト(石綿)の工業材料としての特性とは、どのようなものがあるのでしょうか?
アスベスト(石綿)には色々な優位性があり、それを利用して工業製品や建築材料として製造・施工されてきました。
その優位性とは、
- 高抗張力
- 不燃性
- 耐熱性
- 耐薬品性
- 絶縁性
- 耐久性
- 耐腐食性
- 親和性
- 柔軟性
- 耐摩耗性等が挙げられます。
アスベスト(石綿)の歴史
ここで、アスベスト(石綿)の歴史について概略を記載致します。
古代のエジプトではミイラを包む布として使われたとされるアスベストですが、日本においては、「竹取物語」に出てくる、燃えない衣のような記述が有り、もしかするとこの頃には石綿が存在した可能性があります。
- 江戸時代(1764年)・・・平賀源内による火浣布の発明
- 明治20年代・・・石綿及び保温材等の石綿製品の輸入開始
- 明治24年・・・保温材、パッキン等の国産化開始
- 明治39年・・・石綿セメント瓦の輸入開始
- 大正 2年・・・石綿セメント製品の国産化開始
- 昭和31年・・・吹付け石綿施工の開始
- 昭和49年・・・吹付け石綿施工の中止
- 平成7年・・・法的にアモサイト、クロシドライトの使用禁止
- 平成16年・・・石綿含有製品10品の原則製造輸入禁止
アスベスト(石綿)が関係する法規
アスベスト(石綿)が関係する法規について以下の通り列記致します。
【労働者保護】
- 労働安全衛生法
- じん肺法
- 作業環境測定法
【環境、省資源】
- 大気汚染防止法
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
- 建設リサイクル法
- PRTR法
【その他】
- 建築基準法
- 宅地建物取引業
建築物を解体する際には、主に上記の法令に則った届出・対策・施工が必要となります。
以上、冒頭にも記述しましたが現在日本国内では、解体工事を始める前には、アスベスト含有の有無についての事前調査が求められます。
2014年6月1日から建築物・工作物の解体工事に伴う、アスベスト飛散防止対策が強化されています。
工事を始めてしまってから知りませんでしたでは、済まされないので解体工事を始める前にアスベストに関して不明点がありましたら下記までご連絡ください。